Incoterms 2020

物流ナレッジ

I. インコタームズ2020の概要

**インコタームズ(Incoterms:International Commercial Terms)**は、「国際商取引条件」と理解されます。

インコタームズ2020は、現在最も完全で整備されたルールセットとされており、2010年版や2000年版(現在も使用可能ではあるが、一般的ではない)と比較して、各条件の追加・置き換え・明確化が行われています。

a) 成立の背景と目的

19世紀末から、国際企業は FOBCIF などの略語を用いて、貨物引渡しにおける責任・費用・リスクを定めてきました。
しかし、各国ごとに商習慣や計量単位が異なるため、誤解や紛争が生じやすい状況でした。
そのため、売買契約の当事者が共通して適用できる統一的なルールが必要となりました。

? インコタームズの目的:

  • 一般的な貿易条件を明確に説明すること
  • 買主と売主の責任・費用・リスクを分担すること
  • 誤解による紛争を最小限に抑えること

b) 成立と発展の歴史

  • 1919年: 国際商業会議所(ICC)設立
  • 1923年: 貿易条件に関する最初の研究
  • 1928年: 第2回世界調査の実施
  • 1936年: 初のインコタームズを発表
  • 1953年: 鉄道輸送に関する内容を追加
  • 1967年: DAF、DDP条件を追加
  • 1976年: FOA条件(航空輸送)を追加
  • 1980年: FRC条件(コンテナ輸送)を追加
  • 1990年: 13条件に整備+電子書類を導入
  • 2000年: 通関手続の標準化
  • 2010年: 条件を11に削減
  • 2020年: 最新版(2020年1月1日より施行)

II. インコタームズ2020の各条件

インコタームズ2020は、全11条件から構成され、**4つのグループ(E・F・C・D)**に分類されます。

各条件:

  • EXW – 工場渡し
  • FCA – 運送人渡し
  • FOB – 本船渡し
  • FAS – 船側渡し
  • CPT – 輸送費込み
  • CIP – 輸送費・保険料込み
  • CFR – 運賃込み
  • CIF – 運賃・保険料込み
  • DDP – 関税込持込渡し
  • DAP – 仕向地持込渡し
  • DPU – 荷卸込持込渡し(仕向地)

? 輸送方法による分類:

  • 海上輸送/内陸水運
  • 複合一貫輸送(マルチモーダル輸送)

区分 Incoterms 2020
Eグループ:工場渡し / 数量:1
  • 売主は、合意された場所で買主に引き渡すための貨物を準備する。
  • 売主は、通関手続、積卸費用、輸送費用、ならびに貨物の許可取得を行う必要はない。
Fグループ:主運賃未払い / 数量:3
  • 本グループでは、売主は買主の要請に応じて輸出通関を行い、許可取得を支援するが、輸入手続は行わず、国際輸送契約も締結しない。
Cグループ:主運賃支払済み / 数量:4
  • 売主はFグループに記載された業務を実施する。
  • さらに、売主は買主が指定した仕向地まで貨物を輸送するための運送契約を締結する必要がある。
  • 売主は輸入通関の責任を負わない。貨物が運送人(運送会社)に引き渡された時点で、リスクは売主から買主へ移転する。
Dグループ:仕向地渡し / 数量:3
  • 売主は、買主が指定した特定の場所まで貨物を配送する責任を負い、貨物が安全に引き渡されるまでのすべてのリスクを負担する。

III. インコタームズ2020の主な変更点(2010年版との比較)

  • 序文(導入部分)の説明をより明確化
  • 売主・買主の義務を再整理
  • 費用項目をより詳細に明記
  • 利用者向けの具体的なガイダンスを追加
  • FCAにおいて「本船積込済(on board)」船荷証券の発行を可能に
  • 保険条件の変更:
    • CIFは引き続きC条件を維持
    • CIPA条件へ引き上げ
  • DATDPUへ変更
  • FCA、DAP、DPU、DDPの条件を再整理
  • 費用をA9/B9項目へ移行